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南極料理人 映画『南極料理人』でおなじみの南極料理人、西村 淳さんによるおもしろくて、ためになる冷凍コラムをお届けするよ。

冷凍野菜賛歌

冷凍食品が便利なことは言うまでもない。時間がないとき、弁当の副菜等々本当に重宝するが、仮に今使用できる食材がみんな「冷凍食品」だったら貴方はどうするだろう?野菜・肉・ソース・卵・・・みんな・そっくり・丸ごと冷凍状態だとしてである

常識的に言うと「考えられなーーい」だが、かつて2度越冬生活を送った南極観測隊ではまさにそんな状況が出した。ポテト・大根・人参・玉葱・長ネギ・アスパラ・なす・ほうれん草等の野菜から肉・魚・卵類もすべて冷凍で、南極行が決まったとき積み込み予定の食材リストを見て、正直気絶しそうになった。不安・不安そして不安である。

【冷凍庫?の製作】

【完成平均-57℃の冷凍庫】

日本にいるときはスーパーに行っても冷凍コーナーの野菜類を横目でにらみながら「味はどうなんだろう?まずいだろうなあ」なんて思いながらスルーしていたので、それを日常的にしかも数十人の人間に出すことになろうとは、なんだか罰ゲームを食らったような気分だったことは間違いない。そして実験。

各メーカー様の冷凍野菜サンプルを一通り持ってきてもらった。テーブルにズラリと並んだ冷凍野菜類はなかなか壮観な風景だったが、それでもまだ心に浮かんだ不安の黒雲は消えず、まずはクッキングタイムとなった。

そして数十分。不安の黒雲は吹き飛び、これから向かう南極大陸への希望が朝日の様に上がってきた。今風に言えば「まじでやばい!!」である。各冷凍野菜群は十分風味を残し、歯触りも心地よく、秀逸だったのが、ポテト・玉葱・にんにくの芽で、丸のまま冷凍されたアイダホ産の「ベイクドポテト」は、食感もホカホカと心地よく、冷凍ポテトへの認識を「まずいと思ってすみませんでした」と思わず頭を下げたくなってしまったほどである・・・ホントニサ

【全部冷凍食品のBBQ】

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西村淳(にしむらじゅん)著書『面白南極料理人』

西村淳(にしむらじゅん)
1952年、北海道生まれ。作家兼料理人。

海上保安学校を卒業し、巡視船勤務の海上保安官となる。そして二度の「南極観測隊」に参加。

一度目は「昭和基地」、二度目は「ドームふじ基地」で越冬する。隊員たちの食事まわりすべてのことを担当する「調理隊員」という肩書きの一方で、通信・雪上車、車両メンテナンス・観測気球打ち上げのサポート、氷サンプリングのサポート、チェーンソーマン、大工、ボイラーメンテナンス、野外観測旅行のナビゲーター、雪穴堀り、燃料輸送・・・など、氷点下の世界でさまざまな仕事をこなす。

巡視船の教官兼主任主計士として海猿のタマゴたちを教えたあと、2009年に退職。同年、自身のエッセーが『南極料理人』として映画化された。主演は、堺雅人。現在は、講演会、料理講習会、テレビ、ラジオ、執筆などで活躍中。著書に『面白南極料理人』『いい加減は良い加減 -南極料理人のレシピ&ひとりごと-』などがある。

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