【映画 南極料理人より】
そんなわけで、高カロリー・高タンパク・高脂肪の食事を出し続けていたある日のことである。食糧の整理も一段落し、「今日は何を作ろうかなあ?」とガサゴソやっていたとき、ある袋が目に留まった。
袋を見ると「和風煮物野菜ミックス」と書いてあった。これが越冬中、煮物・酢豚・八宝菜等に大活躍してくれる、エースと名付けても過言ではない一品との出会いだった。
レンコン・にんじん・椎茸・里芋・ゴボウなどがボイルして冷凍され、にこやかに微笑んでいた。頭に光がともった。
「旨煮を作ろう。」
鶏肉をぶつ切りにして、たっぷり入れ「煮物ミックス」と炒め煮にすると、つややか&ボリュームたっぷりな煮物が出現した。冷や酒と共に食すると、隊員諸氏はそれぞれ故郷の煮物料理自慢をしながら、大量にしかもうれしそうに頬張ってくれた。
「うちの嫁の煮物がね・・・美味いんですよ~これも美味いけれど・・・」 うれしそうに話す彼の脳裏には、確かに家族が浮かんでいるのが、実感できた。
【映画 南極料理人より】
しかも鳴っていたBGMが吉幾三の「酔歌」とくれば、思いがけない「故郷を偲ぶ会」の実施でもあった。
冷凍食品のレシピなどももっと書きたかったのだが、残念ながら連載は今回で終わりである。また機会があればお会いしましょう。
ありがとうございました。