
冷凍してあるからと安心して、つい冷凍食品の賞味期限を過ぎてしまうことはありませんか。「冷凍していたから、きっと大丈夫だろう」と思って食べようとしたことはないでしょうか。
そこで今回は、賞味期限を過ぎた冷凍食品は食べられるのか、さらに冷凍食品の賞味期限の目安や保存のポイントについてわかりやすく解説します。
冷凍食品にも賞味期限がある!

冷凍食品は長期保存できることが魅力ですが、ずっとおいしさが保てるわけではありません。実は常温の食品と同じように、冷凍食品にもきちんと「賞味期限」があるのです。
ここでは、冷凍食品の賞味期限の目安、どのように決めているのか、期限切れの冷凍食品は食べられるのか、長期間おいしく食べられるための保存方法などについて紹介します。
冷凍食品の賞味期限の目安とは?
冷凍食品の賞味期限は、使用されている原材料や加工方法によって異なるため、製造日から8~24か月程度とされています。そのため、必ずパッケージに記載された賞味期限を確認することが大切です。
なお、賞味期限は「-18℃以下の安定した温度で保管すること」を前提に設定されています。保管中、冷凍庫のドアの開閉が頻繁な場合には、記載された期限よりも早く品質が低下する可能性がある点にご注意ください。
冷凍食品の賞味期限はどのように決められる?
冷凍食品の賞味期限は、日本冷凍食品協会の「冷凍食品の期限表示の実施要領」を参考に、商品特性に応じた試験を行い、その結果に基づいて設定されています。ただし、具体的な方法は、製造者独自で決められていることが多く、必ずしも国が定めたガイドラインと同一ではありません。
一般的な設定方法は、製品を-18℃以下で保管し、想定した期間内に以下の試験を繰り返し行います。
- 細菌試験:微生物の増殖
- 理化学試験:油脂などの成分の変化
- 官能試験:品質の劣化(外観、食感、香り・風味など)
これらの試験結果を踏まえ、一定の品質が保たれる期間(いわゆる、おいしく食べられる期間)を、賞味期限として設定しています。
賞味期限切れの冷凍食品は食べていい?

基本的には、賞味期限を過ぎた冷凍食品は、食べないほうが良いです。その理由は、安全性というよりも「おいしさや食感」が大きく損なわれている可能性が高いためです。
先に説明したとおり、冷凍食品の賞味期限は「-18℃以下で安定して保存されていること」を前提に決められています。家庭用の冷凍庫も-18℃以下で保管できるように設計されていますが、扉の開閉が多いため、実際には温度が一定に保たれにくいのが現状です。
その結果、購入した冷凍食品を家庭の冷凍庫で保管していても少しずつ水分が蒸発したり油脂の酸化が進んだりして、風味や食感が低下していきます。
したがって、パッケージに記載された賞味期限にかかわらず、以下を目安に食べ切ることを推奨しています。
- 未開封のもの:2~3か月以内。ただし、扉の近くなど温度変化が大きい場所に置いたものは1~2か月以内
- 開封したもの:できるだけ早く
さらに、このあとご紹介するような状態となっている場合は、品質が大きく低下しているサインのため、食べるのは控えましょう。
要注意1|極端に霜がついている場合
冷凍食品のパッケージの内側に、霜がたくさんついているのを見たことはありませんか。
パッケージ内に少量の霜がついている程度であれば問題ありませんが、袋全体や食品そのものに霜が厚く付着している場合は「冷凍焼け(※)」が起きている可能性があります。
冷凍焼けをした食品は、風味が損なわれたり、色が変わったりと、品質が大きく低下している状態です。
※冷凍焼けとは
食品の品質が低下している状態を示す現象です。冷凍食品を冷凍庫で長期間保存している中で、庫内の温度変化により、食品表面の水分(実際は、氷の結晶)が少しずつ蒸発し、これがパッケージの中で再び氷の結晶(霜)となり、パッケージの内側や食品などに付着していきます。その結果、食品中の水分が減る⇒食品表面が乾燥⇒パサついた食感になります。さらに、油脂を多く含む食品では、乾燥により油脂が酸素に触れやすくなる⇒食品中の油脂の酸化が進む⇒風味が落ちる⇒独特の臭いが発生します。
要注意2|色が変化している場合
冷凍庫で保存中の冷凍食品に、「要注意1」のように極端な霜がついている場合には、品質劣化のサインとして色の変化が現れるため、調理する前にご注意ください。
冷凍食品の色の変化 | 変化した理由 |
---|---|
くすんだ色 | 油脂の酸化や乾燥 |
黄色っぽい色 | 油脂の酸化 |
白っぽい色 | 乾燥 |
次に、冷凍庫から冷凍食品を取り出して食べた後、余ったものを再び冷凍庫の戻す場合の要注意点です。
要注意3|解凍した場合
一度、解凍した冷凍食品は、必ず食べきってください。商品パッケージに「解凍してそのままお召し上がりください」と表記している冷凍食品の場合、解凍しすぎて食べきれなくなり、再び冷凍庫に戻して冷凍すること(再凍結)はありませんか?このように家庭の冷凍庫で再冷凍を行った場合、緩慢凍結となり本来のおいしさがなくなるため、再凍結は避け、食べきれる分だけを解凍し、残った冷凍食品は「要注意4」と同様に、速やかに冷凍庫に戻してください。
【補足】冷凍食品を再凍結してはいけない理由
解凍した冷凍食品は、再凍結しないでください。再凍結すると、以下のようにおいしさも栄養も失われ、さらに食中毒の危険も高まるため推奨しません。
- 品質が大きく低下する:一般的に家庭用冷凍庫で凍結を行うと緩慢凍結となり、これを解凍した場合、食品中の細胞が壊れ、水分、栄養、旨み成分が流れ出し、食感が悪くなり風味が低下します。
- 栄養価が低下する:解凍・再凍結を繰り返すと、ビタミンなどの栄養成分が壊れやすくなります。
- 食中毒のリスクが高まる:解凍する場合の部屋や冷蔵庫の温度や解凍後の保存温度にもよりますが、いずれも品温が高くなり細菌が増える可能性があります。もし、食中毒菌に汚染されていた場合は、食中毒のリスクが高まることになります。
※通常の冷凍食品は、急速凍結をすることで、本来の品質を保つことができています。
【参考】急速凍結と緩慢凍結の違い(品質劣化のメカニズム)
■急速凍結
冷凍食品工場などにある急速凍結庫で凍結を行う場合、この最大氷結晶生成帯を短時間で通過することができ、小さな氷の結晶となり、細胞組織の破壊が最小限に抑えられ、解凍や調理をした場合でも、つくりたての製品と同じ品質が保たれます。
■緩慢凍結
凍結能力の低い冷凍庫などで凍結する場合、最大氷結晶生成帯と言われている温度帯(-1℃〜-5℃)をゆっくり通過するため、食品中の氷の結晶が大きくなり細胞壁を破壊します。これにより、解凍時にドリップ(※)が発生し、食感・風味・栄養が損なわれます。
※ドリップとは、冷凍食品を解凍した際に食品から流れ出る液体のことです。主に水分と可溶性の栄養成分(タンパク質、ビタミン、ミネラルなど)を含み、食品の品質や栄養価に影響を与える重要な現象です。
なお、項目別にみた急速凍結と緩慢凍結の違いは以下の通りです。
項目 | 急速凍結 | 緩慢凍結 |
---|---|---|
最大氷結晶生成帯通過時間 | 約30分以内で凍結 | 30分以上かけて凍結 |
氷の結晶の大きさ | 微細 | 大きい |
細胞組織への影響 | 細胞膜が破壊されにくい | 細胞膜が破壊されやすい |
解凍時のドリップ | 少ない | 多い |
食感・風味 | つくりたてに近い | 食感・風味が劣る |
栄養価 | 高く保持される傾向 | 栄養素が流出しやすい |
要注意4|開封した場合
一度、開封した冷凍食品は、「要注意1・要注意2」のような変化が現れやすくなるため、食べきることをお勧めします。食べきれなかった場合は、なるべく空気が入らないよう密封した後、早めに冷凍庫に戻してください。このような場合でも、できるだけ早めに食べきってください。詳しくは、次にある「冷凍食品をおいしく安全に保存するコツ」もご覧ください。
冷凍食品をおいしく安全に保存するコツ

ここでは、冷凍食品をよりおいしく安全に保存する7つのコツを紹介します。
なお、冷凍食品の保存に関しては、こちらもご覧ください。
1.空気を抜いて密封する
開封した冷凍食品をラップや保存袋で保管する場合は、できるだけ空気を抜いて密封し、手早く冷凍室に戻しましょう。冷凍焼けや乾燥を防ぎ、品質を維持しやすくなります。
2.冷凍庫の温度を適切に管理する
冷凍庫の温度が上がると、冷凍食品が劣化しやすくなります。扉の開閉時間をできるだけ短縮するなどして、-18℃以下に保つよう心がけましょう。また、食品は隙間なく詰め込むのが理想です。凍った食品同士で冷やし合って温度上昇を防げます。
家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
3.解凍方法を使い分ける
解凍に時間をかけてしまうと、冷凍食品が劣化しやすくなります。食中毒の原因菌が増殖するおそれもあるので、スピーディーに解凍することが重要です。電子レンジ・流水・冷蔵庫など、食品や使用方法に合わせて適切な解凍方法を選びましょう。
冷凍食品の解凍方法について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
4.冷凍庫内を整理整頓する
冷凍庫内を整理整頓すると、何が冷凍庫にあるのかが把握しやすくなり、賞味期限切れを防止しやすくなります。以下のような方法を取り入れて、冷凍食品を管理しましょう。
5.立てて収納する
冷凍食品は立てて保管がおすすめです。どれが何の食品なのか把握しやすくなるだけでなく、スペースも有効活用できます。
6.仕切りを活用する
仕切りを使うと、食品ごとに分類したり、袋が倒れて見えなくなったりするのを防げます。ケースやボックスを使って整理するのも良いでしょう。
冷凍室の整理方法を知りたい方はこちらをご覧ください。
まとめ
「凍っているから大丈夫」と思われがちな冷凍食品にも美味しく食べられる期限として賞味期限が設定されています。賞味期限を過ぎた冷凍食品は、おいしさや品質が損なわれている場合もあるため、先に説明したように品質が低下している場合は、食べないほうが賢明です。
また、温度が変わりやすい家庭用冷蔵庫の場合は、賞味期限よりも早く品質が低下することがあります。購入後はなるべく早めに消費しましょう。

この記事を書いた人
日本冷凍食品協会広報部編集チーム
冷凍食品の魅力を伝える普及活動をしています。