日本冷凍食品協会「認定マーク」が変更|認定マーク付きの冷凍食品を買うメリットも解説

日本冷凍食品協会広報部編集チーム

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冷凍食品の画像

日本冷凍食品協会(以下、協会)の「認定マーク」は、厳しい検査をクリアした質の高い冷凍食品に対して与えられるマークです。長い歴史をもつこの認定マークが、2025年4月、一新されました。

今回は、この認定マークの概要や変更点をわかりやすく解説するとともに、認定マーク付きの冷凍食品を選ぶメリットなどについても紹介しているので、ぜひ冷凍食品を購入する際の参考にしてください。

日本冷凍食品協会の「認定マーク」とは

スーパーの冷凍食品コーナーの画像

1970年(協会設立の翌年)、協会は「冷凍食品の検査に関する諸規程」を定め、この諸規程に基づき認定した工場を「認定工場」として認める「冷凍食品自主検査制度」を開始しました。これは、民間団体としては国内で初めての検査制度です。

この検査制度の仕組みの中で、認定工場でつくられた冷凍食品のうち、工場で定めている出荷基準(品質、衛生、表示など)に適合した製品だけに付けられるマークのことです。

冷凍食品認定マークの意味については、こちらの記事でも解説しています。

2025年度より認定マークが変更!何が変わった?

冷凍食品コーナーで買い物をしている画像

1970年から55年間にわたり使用してきた認定マークが、2025年4月にリニューアルされ、現在、各会員メーカーでは、新しいマークに変更するため、包材の切り替えを行っているところです。ここでは、なぜ認定マークが変更されたのか、また、具体的にどのように変わったのかを解説します。

認定マーク変更の理由と変わった点

食品衛生法改正により、2021年6月1日以降、すべての食品事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が義務付けられました。協会では、2008年まで運用してきた自主検査制度を、2009年にHACCPを導入した「冷凍食品認定制度」(以下、認定制度)に改定し、その運用を開始していました。そのため、認定工場は、HACCPが義務化される前から既にHACCPに対応できていたんです。

こうした背景をふまえ、「認定工場=HACCPに対応している」ということを、社会にわかりやすく伝えるために2025年4月に認定制度を改定したところです。これに伴い、認定マークの真ん中にある「認定証」という文字を「HACCP」へと変更した新しいデザインにリニューアルしました。

もし、皆さんがスーパーなどで冷凍食品を選ぶときは、ぜひ新しい認定マークをチェックしてみてください。

HACCPとは何か?

HACCPとは、食品を安全に消費者にお届けするためにアメリカで開発された衛生管理の方法で、多くの国々でも使われている衛生管理システムです。食品をつくるときには「食中毒菌による汚染」や「異物の混入」などの重大なリスクがありますが、これを事前に見つけて防ぐことを目的とした管理システムです。

具体的には、原材料の仕入れから、製造、出荷までの一連の工程を細かく確認し、特にリスクが起こりやすい重要な工程を見つけ出し、重点的に管理します。

簡単にいうと、HACCPとは「食の安全を守るために、どの段階でリスクが起きやすいのかを、事前に見つけてしっかり管理する仕組み」です。

出典:厚生労働省「HACCP(ハサップ)

認定マーク変更の狙い

認定マークを変更したのは、すでに認定制度や認定基準がHACCPに対応しているということが、社会に伝わっていない(認知されていない)という課題があったからです。
これらの課題解決の一つとして、認定工場でつくられた認定製品のパッケージについているHACCP認定マークを見たときに、一目でHACCPに対応した製品であることがわかるデザインにするということです。

また、新しい認定マークへの変更を機に、業界内外に認定制度を改めて周知し、認定制度の良さを知ってもらいたいという目的もあります。その結果、認定工場数が増え、冷凍食品業界全体のレベルアップ、ひいては世の中の冷凍食品の品質の向上につなげていくことも目指しています。

認定マーク付きの冷凍食品を買うメリットは?

認定マークの画像

認定マーク付きの冷凍食品を買う主なメリットは、協会が委託している外部の専門家が定期的に工場に訪問し、認定審査、定期検査、工場指導及び各種支援を通じて見守っている認定工場でつくられた製品は、安全性が高く、高品質な冷凍食品であるということです。

このように、第3者の厳しい目でチェックを受けている認定工場でつくられているということが、冷凍食品を選ぶ際の重要なポイントと考えています。ここでは、認定マーク付きの冷凍食品を買うメリットについて、詳しく解説します。

メリット1|高い安全性

認定マーク付きの冷凍食品は、安全性の高さが魅力です。認定マークは、100項目以上の厳しい認定基準項目をクリアして認定された認定工場で製造し、さらに衛生検査や品質検査などの出荷判定で合格となった製品に表示されています。そのため、高い安全性が保たれた商品が消費者に届けられているのです。

ちなみに、認定基準は以下の3つで構成されています。

  • 基準Ⅰ:食品安全確保のための組織的な活動及び品質管理の仕組み
  • 基準Ⅱ:基準Ⅰで定めた仕組みの管理及び運用
  • 基準Ⅲ:工場の環境、施設・設備に係る要件

具体的な基準項目(Ⅲを除く)は、以下の表をご覧ください。詳しくは、協会のHPをご覧ください。

メリット2|高い品質

認定マーク付きの冷凍食品には、以下のような品質面のメリットもあります。

  • 新鮮な原材料を使える:野菜や魚類は、収穫・漁獲直後に前処理され、新鮮な状態のうちに冷凍されます。特に野菜に関しては、美味しくて栄養価が高い旬の時期に収穫しており、これを前処理して冷凍することで味や栄養を長く保つことができます。

  • 原材料の安全:冷凍食品製造に用いる原材料の納入先企業についても厳しい原材料の供給に関する管理基準が設けられており、この基準をクリアしないと取引ができません。また、定期的に、品質保証体制や現地の確認が行われています。これらの仕組みにより、適切な原材料を受け入れられ、安全な冷凍食品を製造することができています。

  • 急速冷凍で鮮度をキープ:食材を短時間で急速に冷凍することで、細胞の破壊を防ぎ、水分の流出(ドリップといいます)を最小限に抑え、栄養や風味を損なわずに保存できます。

  • 長期保存でも品質を維持:-18℃以下の適切な温度で保存すれば、旬の食材や栄養価の高い状態を長期間楽しめるのも、冷凍食品の強みです。

  • 全ての認定工場には、官能検査員がいる:認定工場には、原材料や製品の品質を適切に評価できる官能検査員が配置されています。認定制度では、この検査員に対して、その技能を評価する仕組みや教育訓練を行うことを求めており、日々厳しいチェックが行われています。

メリット3|信頼の証

協会では、認定制度における認定審査、定期検査(監査)、工場指導及び各種支援を、外部の検査機関(第3者)に委託しています。ここに所属している訓練を受けた検査の専門家が定期的に工場へ訪問し、これらの委託内容を実施することで、認定工場の品質管理体制のレベルアップや信頼性の向上が図られています。また、委託元である協会も同行して、委託業務が適切に行われているかを定期的に確認しています。

主なチェック内容詳細
衛生管理に関する確認・工場内の設備・機器類の清掃、洗浄及び消毒状況
・作業者の手洗いや作業服の管理状況詳細
製造工程の確認・原材料の受け入れ管理や保管方法
・製造ラインでの温度管理や工程管理
・HACCPに基づくリスク管理の実施状況
製品の品質確認・出荷前の製品検査(微生物及び官能検査など)
・パッケージの表示確認
設備・機器の点検・急速凍結装置を含む機器や設備の洗浄、点検、保守状況
・加熱装置、異物検査機器の運用・作動確認(CCP)
・工場内外の全ての衛生管理状況の確認
文書・記録の確認・規定類や手順書の整備・管理状況
・衛生管理や工程管理の記録の確認
・教育・訓練記録の確認
改善指導・必要に応じて改善方法のアドバイスを実施

このように世の中にある他の認証制度とは異なり、外部専門家による定期検査や指導・改善支援により、次のような効果が期待できます。

「安全で高品質な冷凍食品を作るための見張り番」の役割を果たす
◆品質管理体制の維持だけでなく継続的なレベル向上も可能になる

その結果、消費者は、認定マーク付きの冷凍食品を安心して購入できる仕組みになっています。

まとめ

協会の認定マークは、厳しい検査をクリアした、安全性と品質が保証された冷凍食品に表示するマークです。
食中毒菌による汚染や異物混入などのリスクを未然に防ぐために、HACCPの仕組みを取り入れた認定工場で生産された証であることを、消費者の皆様に知ってもらうことが目的で、デザインを変更しました。

冷凍食品工場の中を直接見ることはできませんが、認定マーク付きの製品は、安全で品質の高い冷凍食品であることがわかります。

冷凍食品を購入するときは、認定マークが付いているかどうかを冷凍食品の売り場で必ずチェックしてみてください。

この記事を書いた人

日本冷凍食品協会広報部編集チーム

冷凍食品の魅力を伝える普及活動をしています。

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