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意外と知らない?冷凍食品基礎知識!

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今や私たちの暮らしになくてはならない存在となった「冷凍食品」。でも、その定義や魅力を100%理解している方は少ないのではないでしょうか?そこで、改めて「冷凍食品」についておさらい。一体どんな要件を満たせば冷凍食品と呼ばれるのか、また、加熱するだけで食べられる以外にどんな利点があるのか、基本から学んでいきましょう!

知らなかった!これを満たせば「冷凍食品」

「冷凍食品」と呼ばれるための4つの条件とは?

長期保存に適した状態になっているかどうかがポイント 冷凍されている食品のすべてが「冷凍食品」というわけではありません。では、どんな状態のものを「冷凍食品」と呼ぶのでしょうか? 冷凍食品は、「風味、食感、色、栄養、衛生状態などをとれたて・つくりたてのまま、長い間保存したい」という工夫から生まれた食品。そのため、ただ凍らせただけではなく、品質を保つために次の4つの条件を満たすように作られています。 1. 前処理している 新鮮な材料を選び、きれいに洗浄した上で、調理しやすい状態になっていること。例えば、皮をむいたり、適度なサイズにカットされているものもあります。 2. 急速凍結している 凍結するときに食品の組織が壊れて品質が低下してしまわないよう、家庭用の冷蔵庫ではできない-30~-40℃の低温で、急速に凍結しています。 3. 適切に包装している 消費者の手元まで、汚れたり、型崩れせずに届くよう、食品を適切に包装しています。パッケージには調理方法や原材料など、様々な情報が記載されています。 4. 品温を-18℃以下で保管している 食品の温度(品温)を生産・貯蔵・輸送・配送・販売の各段階を通じ、一貫して-18℃以下に保つように管理しています。 以上4つのうち、ひとつでも欠けると、それは「冷凍食品」にあらず。身近な冷凍食品も、実は奥が深いのです。 例えば、スーパーでは白い発泡トレイにのせられた冷凍鮭も販売されていますが、それは冷凍食品ではありません。写真のようにアルミ蒸着フィルムパッケージなどできちんと包装されたものが冷凍食品です。

ただ冷凍してあれば、それはすべて「冷凍食品」だと思っていませんか?しかし、答えはNO。冷凍食品と呼ばれるための4つの条件を、詳しくチェックしてみましょう。

「すぐ食べられる」以外にもある!冷凍食品のこんな長所

冷凍食品のメリットのひとつ、前処理してあるから、生ごみを減らせるんです!

便利なだけじゃない、こんな良さもある冷凍食品 上の写真はエビと卵の殻、そして玉ねぎの皮とヘタ。これはエビチリ2人分を自宅で作ったときに出る一般的な生ゴミの量です。 冷凍食品は保存がきくので、食べたい時にいつでも食べられる上、買い置きもできるので、買い物に行けない時にも助かるというメリットが真っ先に思いつきますが、家庭での生ごみの軽減にも役立ちます。エビチリのようなおかずの冷凍食品だけでなく、冷凍野菜なども前処理がしてあるので、捨てるところがなく、無駄もありません。 冷凍食品の工場では、取り除いた皮などの多くを肥料や飼料にしてリサイクルしています。実は、冷凍食品はとってもエコな食品なのです。 冷凍食品のエビチリは、大きめサイズのエビにこだわったものなど、本格派が増えています。白いご飯にこれさえあれば、たちまち豪華な夕食メニューに!

冷凍食品のよさは、おいしさや扱いやすさだけではなく、家庭のごみを減らすことができるという点も。なるべく生ごみを出したくない、旅行前や年末などにも便利です。

え!そうだったの?冷凍食品4大疑問
「栄養」・「保存料」・「着色料」・「賞味期限」について

ほうれん草のビタミンCをたっぷり摂るなら、生鮮or冷凍、どっち?

生だとあっという間に減少するビタミンC、冷凍ならこんなにキープできる ビタミンCがたっぷりと含まれる食材として名高いほうれん草。旬は冬で、寒さが増すこれからがおいしくなる季節です。 実はそのほうれん草のビタミンC、生鮮だと冷蔵庫に保存していても、すぐに減少してしまうのです。その残存量は収穫後4.5℃で保存しても3日目で78%、常温の25℃では同じく3日目で56%。それに対して、収穫後すぐに急速冷凍したほうれん草を-18℃で保存しておくと、ビタミンCの量が半分の50%になるのはなんと33カ月後! 賞味期限の1年はほとんど変わらない状態で保存できるので、生鮮ほうれん草一束を使うのに何日もかかる人は、劣化やビタミンCの減少を気にせずに使える冷凍のものを活用してみてくださいね。 冷凍のカットほうれん草なら、食べやすいサイズに切ってあるので、料理にもパパッと使いやすい。 緑・黄・赤の色のバランスも食欲をそそるかきたまほうれん草スープ(写真上) 材料(2人分) 約分 冷凍カットほうれん草30g 鶏がらスープ(顆粒)大さじ1 薄口醤油小さじ1 ミニトマト4個(二等分カット) 卵1個 ごま油小さじ1/2 作り方 水2カップを小鍋で沸かしたら、卵以外を全て加えて、トマトに火が通る程度に軽く煮込む。溶き卵を回し入れて火を止めてしばらくふたをする。

生のままで保存しておくと、すぐにビタミンCが減少してしまうほうれん草。でも、冷凍なら、なんと長~くそのビタミンCをキープできるんです!

冷凍野菜で離乳食をつくろう

凍ったまますりおろすのも可能だから、ラクラク離乳食に使えちゃう 冷凍食品は「保存料が入っているから長持ちする」と思っている人がいますが、それはまったくの間違い。冷凍食品は-18℃以下で保存されているため、その状況下では腐敗の原因となる微生物が活動できないため、保存料を使わなくとも長く劣化せずに保つことができるのです。だから、小さい子どもにも安心して食べさせることができます。 しかも、凍った状態だと、おろし器で細かくすりおろすのもとても簡単。離乳初期のペースト状のものを作るときに欠かせないすりおろす作業が楽になり、便利ですよ。そんな冷凍野菜のメリットを利用して、洋野菜ミックスに入っているブロッコリー、にんじん、カリフラワーを使って、離乳初期から後期まで3つの離乳食レシピをご紹介します。 ゴックン期(離乳初期)ブロッコリーがゆ 材料(1人分) 約分 冷凍ブロッコリー30g 10倍がゆ適量 作り方 ブロッコリーの花の部分だけ凍ったままおろし器ですりおろしたら、少量の水と一緒に小鍋でやわらかくなるまで煮る。10倍がゆの上に適量乗せる。 POINT 煮沸消毒したおろし器でブロッコリーをすりおろす。 モグモグ期(離乳中期)にんじん蒸しパン 材料(4個分) 約分 冷凍にんじん20g 小麦粉60g 牛乳60ml ベーキングパウダー小さじ1 作り方 凍ったままのにんじんをおろし器ですりおろし、他の材料とともにボウルの中で混ぜ合わせる。カップに4等分して入れ、蒸し器で10~12分蒸す。(竹串を刺して生地がくっついてこなければでき上がり) POINT にんじんも同様にすりおろしてから材料と混ぜ合わせる。。 カミカミ期(離乳後期)カリフラワーのミルク煮 材料() 約分 冷凍カリフラワー30g 水200ml 牛乳大さじ1 塩ひとつまみ 作り方 カリフラワーを袋の表示通りに解凍し、花の部分だけひと口大に切る。水とともに小鍋に入れて柔らかく煮る。牛乳と塩を加え、ひと煮立ちさせる。 POINT 固い軸は取り除き、花の部分をひと口大に切る。

冷凍食品には、実は保存料が使われていないということを知っていますか?だから、乳幼児にも安心して食べさせることができるんです。離乳食にも活用できる冷凍野菜の魅力を改めてご紹介。

料理を彩り豊かに見せる、冷凍野菜の「色」の秘密

着色料を使わずともきれいな発色が可能なのはなぜ? にんじんのオレンジ、ブロッコリーやいんげんのグリーンなど、冷凍野菜はとても発色がよいため、シチューの仕上げにトッピングしたりと、料理のアクセントにはもってこい。でも、なぜあのようなきれいな色を保てるのでしょうか? その秘密は、「ブランチング」という前処理にあります。冷凍野菜は、そのまま凍結するわけではなく、まずは旬のとれたての原料を熱湯に漬けたり蒸気に当てたりすることで70%~80%加熱し、その後急速凍結して、-18℃以下の低温で保存します。 その工程を行うことで、野菜自身が持つ酵素の働きを止め、品質や色が変化することを防ぐことができるのです。 鮮やかな色は、発色剤などを使って人工的に出したものではなく、野菜本来が持つ色。そう考えると、一層安心して冷凍野菜を利用することが出来そうですね!

給食やレストランなどでも活用されている冷凍野菜は、その鮮やかな発色が特長のひとつ。でもこれ、発色剤などはもちろん使っていません。色まで新鮮に閉じ込める、その処理方法とは?

買い置きした冷凍野菜は、どれくらいで食べ切るべき?

未開封のものでも、2~3カ月程度を目安に食べ切ろう いつか食べるから…と、古い冷凍食品を冷凍庫にいつまでも入れっぱなしにしているというご家庭はありませんか?しかし、冷凍食品は無期限においしく食べられるわけではなく、生鮮食品と同じで賞味期限というものがあるんです。 その期限は長いもので1年以上のものもありますが、ご家庭の冷凍庫で保存する場合、一般的には2~3カ月程度が目安です。特に冷凍野菜など、開封すると水分が抜けたり、酸化して鮮度が落ちやすいので早目に食べ切りましょう。 ちなみに、一度解凍したものをもう一度冷凍しても、元の賞味期限が継続するわけではなく、解凍してしまったものは、生と同じ。すぐに調理して、使い切りましょう。 買い置きしておくと便利な冷凍野菜、正しい知識を持っておいしく食べることをオススメします! 人気商品の、アレンジしやすいほうれん草(左)と、様々なカラフル野菜が入った洋野菜ミックス(右)。

冷凍してあるからといって、永遠においしく食べられるというわけではありません。では、買い置きした冷凍野菜は一般的にどれくらいの期間ならおいしく食べられるのでしょうか。

驚きの事実が満載!知って得する売り場や冷凍食品の豆知識

冷凍食品売り場のここをチェックしよう!

冷凍ケースの中はどうなっているの? スーパーなどにある冷凍食品のショーケースは、横置き型でオープンなものと、ガラス扉が付いた縦型のもの、大きく分けて2タイプあります。 ただ、店内のオープンケースに置かれている冷凍食品は、外気によって解けてしまっていないか、ちょっぴり心配になることも。そんなときは、以下の2点をチェックして! 冷凍食品の品質を保つには、-18℃以下で保存することが義務付けられています。そのため、まずはそのケース内の温度が-18℃以下にキープされているかを、備え付けの温度計で確認を。また、ケースをよく見るとその内側には「ロードライン」と呼ばれる線が引かれています。ロードラインとは、積荷限界線ともいわれ、フタのないオープンなケースでも、その線より下は冷凍機能が効いています。ですので、そのライン以下に商品が収められているかという点も重要なチェックポイントです。 その2点がクリアされていれば、きちんと冷凍状態が保たれているということ。買い物に行った際は、ぜひ注意深く見てみて。 この線がロードライン。「ここから下は-18℃以下に保たれている」という印です。 最近はこのような縦型の開閉式冷凍庫が増えています。 ※ なお、縦型のショーケースには、扉が付いていないものもあります。このタイプのショーケースは、冷気を吹き出し、冷たい空気の層(エアカーテン)で外気と仕切り、品温を -18℃以下に保っています。

スーパーなどにある冷凍食品のショーケースは、一定の保存温度をキープしなければならないなど、実は全国共通の決まりがあるんです。きちんと冷凍状態が保たれているかを判断する、チェックポイントって?

驚き!アイスクリームは「冷凍食品」じゃないんです

アイスクリームと「冷凍食品」、一体どこが違う? 気温の上昇とともに食べたい気持ちが高まるアイスクリーム。コンビニやスーパーでは、冷凍食品と一緒に並んでいることもありますが、実はアイスクリームや氷菓は「冷凍食品」ではありません。 「冷凍食品」は、解凍、調理することを前提に、保存のために食品を冷凍したもの。そのため、凍った状態のまま口にすることはありません。かたやアイスクリームは凍らせたものをそのまま食べる食品です。また、冷凍食品はパッケージに賞味期限の表示が義務付けられていますが、アイスクリームは一度溶けると状態が変化して見た目でわかるため、賞味期限の表示を省略することが認められているんです。 似ているようで全然違う、冷凍食品とアイスクリーム。パッケージをよく観察してみるのも面白そうです。 冷凍いちごはミキサーを使って簡単スムージーなどにアレンジして食すのが人気です。

凍ったまま食べるアイスクリームは、保存を目的として凍らせてある「冷凍食品」ではありません。その違いとは?詳しく調べてみました。

冷凍えびなどの周りに付いている氷の膜、「グレーズ」って何!?

グレーズは食品の鮮度やおいしさを保つ大事な氷 冷凍庫に入れて置けば永久に食品の品質が保たれるというわけではありません。冷凍してあっても、徐々に水分が蒸発して乾燥が進んだり、空気に触れることで食品内の脂質が酸化したり、段々と劣化を起こしてしまうのです。 そこで、少しでもその品質低下を防ぐために施されているのが、「グレーズ」処理です。食品を氷の薄い膜で覆うことで、食品の表面の乾燥を防ぎ、みずみずしさが保たれます。また、食品が直接空気に触れないため、酸化も防止することができます。 食品から出た水分が凍った霜とは全く別ものなので、えびや魚など特に海鮮の食材は、よく見てグレーズされた商品を選んで。

冷凍シーフードミックスなどの冷凍水産品を扱ったことはありますか?これらは薄い氷の膜に包まれていることがあります。「グレーズ」と呼ばれるその膜の正体に迫ります。

知っていますか?今や私たちの食卓に欠かせない食品凍結の始まりを

いつでも新鮮なお刺身が食べられるのは冷凍技術のおかげ! 冷凍食品というと、みなさんは何を想像しますか?お弁当用のから揚げや夕食のおかずとしても大人気のギョウザやシュウマイ、ひとりランチに活躍するチャーハンや鍋焼きうどんなど、今はその種類も様々。こうした調理食品を思い出すことが多いのではないでしょうか。 しかし、海に囲まれた日本での食品凍結の始まりは、魚からでした。食品凍結の長い歴史を紐解くと、その始まりは実に約100年前まで遡ります。1920年に現ニチレイ(当時の葛原商会)が北海道森町に造った冷蔵庫がその始まりと言われ、日に10トンの魚を凍結させることが可能に。とれたての新鮮な魚をすぐに凍結して保存し、流通させることができるようになったおかげで、水揚げから何十日か経っても美味しい魚を食べることができるようになったのです。今では、まぐろにみられるように世界各地で冷凍された魚介類が輸入され、日本全国で食することができます。 ニチレイフーズの森工場には、「日本冷凍食品事業発祥之地」の記念碑が立てられています。そんな冷凍食品工場の内部を見ることができるのを知っていますか?日本冷凍食品協会のホームページでは工場見学のできる全国の冷凍食品工場をご案内しています。普段はなかなか見ることができない製造機械や作業を間近に見ることができるので、ぜひお子さんやご友人を誘って出かけてみてください。なお、見学には事前予約が必要です。各工場で条件が異なるので、それぞれの工場にお問い合わせください。

今や様々な生鮮食品を全国どこでも食べることができるのは、食品の凍結技術のおかげ。その始まりは、寿司や刺身など日本食に欠かせない生魚の凍結にありました。

冷凍食品の始まり「イチゴシャーベー」をつくってみた

牛乳と冷凍イチゴでつくる素朴でやさしい味わい 冷凍食品の始まりは、どんなものだったか知っていますか? 現代では、冷食というとうどんや揚げ物など、調理品を連想しますが、なんと日本で最初の市販冷凍食品は、いちごを凍結した「イチゴシャーベー」なるものだったのです。 今からさかのぼること85年、それは1931年のことでした。当時の戸畑冷蔵(現:日本水産)の開発者が、イチゴをつぶして砂糖と牛乳をかけて食べるイチゴミルクが大好きで、それを旬にかかわらずいつでも食べられるようにしたいとの願いから作ってみたのがきっかけ。その後、時間をかけて徐々にいろいろな食品が冷凍され売り出されるようになったということです。 今回はそのイチゴシャーベーを再現。残念ながら当時の詳細なレシピは今ではどこにもないのですが、「冷食のススメ」編集部が確認したいくつかの資料から得た情報を元に「こんな感じかな?」と現代版イチゴシャーベーを作ってみました! ムダなものを入れずに作るシンプルさが新鮮!イチゴシャーベー 材料(2~3人分) 約分 冷凍イチゴ150g 牛乳100ml 砂糖大さじ2 飾り用レモンあれば少量 作り方 ジューサーミキサーにすべてを入れて撹拌し、タッパーなどに入れて冷凍庫で凍らせる。1時間に一回程度かき混ぜて、好みの硬さになったら出来上がり。 POINT 1時間ごとに冷凍庫から出して、スプーンなどでかき混ぜる。

日本の冷凍食品の始まりは、旬のいちごを凍結した商品「イチゴシャーベー」とのこと。目的は砂糖と牛乳をかけて食べるためだったと言われています。冷凍食品の始祖とも言える「イチゴシャーベー」のアレンジにトライしてみました。