ほうれん草の冷凍方法は?解凍方法や冷凍ほうれん草の魅力も解説

日本冷凍食品協会 編集チーム

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冷凍ほうれん草

ほうれん草を長く置いておくと、萎びたり傷んだりしてしまうことがあります。もったいないので冷凍保存できないかと思う方も多いでしょう。

結論からいうと、ほうれん草は冷凍保存できます。ただし、おいしさを保つには、冷凍・解凍のコツを覚えておくことが重要です。さらに、市販の冷凍ほうれん草を使えば、時短調理にもつながりおすすめです。

今回は、ほうれん草の冷凍方法と解凍方法、冷凍ほうれん草の調理のコツなどを紹介します。冷凍ほうれん草を使ったおすすめレシピもありますので、ぜひ最後までご覧ください。

自宅でほうれん草を冷凍する方法

自宅でほうれん草を冷凍する方法

まずは、ほうれん草を生のまま冷凍する方法と、茹でてから冷凍する方法について解説します。

生のまま冷凍保存する場合

ほうれん草は生のまま冷凍可能です。生のまま冷凍すると下処理の手間が省けるだけでなく、ほうれん草の風味を保ちやすくなります。以下の手順を参考に冷凍しましょう。

  1. ほうれん草を洗う
  2. 3~4cmの長さに切る
  3. しっかりと水けを拭き取る
  4. 1回分の量に小分けして、冷凍用保存袋に入れて冷凍する

ほうれん草を洗うときは、まず茎の間を広げて流水を当てながら、根本の土を丁寧に落としましょう。次にほうれん草を逆さに持って、根本から全体を洗うとキレイに汚れを落とせます。

茹でてから冷凍保存する場合

ほうれん草は茹でてから冷凍しても問題ありません。茹でてから冷凍すると、調理時のアク抜きの手間が省けます。また、えぐみを感じにくく甘みが引き立つので、料理に使いやすいでしょう。茹でたほうれん草を冷凍する際の、基本の手順は以下の通りです。

  1. ほうれん草を洗ってかために茹で、冷水にさらして色止めする
  2. 水けをしっかりと絞って、3~4cmの長さに切る
  3. 再度丁寧に水けを切り、1回分の量に小分けしてラップで包む
  4. 冷凍用保存袋または保存容器に入れて冷凍する

ほうれん草を茹でるときは、お湯に塩を入れると色が落ちにくくなります。

ほうれん草を解凍する方法

冷凍ほうれん草を汁物や炒め物などに使う場合は、凍った状態のまま調理可能です。直接鍋やフライパンに入れて加熱しましょう。

サラダやごま和え、おひたしなどの冷たい副菜を作る場合は、冷凍ほうれん草を冷蔵庫に移動させ、解凍してから使用します。推奨の解凍時間は冷凍方法によって異なり、生のまま冷凍したほうれん草は1時間、茹でてから冷凍したほうれん草は3時間~半日ほどです。

なお、時短をするなら、冷凍ほうれん草をそのままめんつゆやポン酢で味付けする方法もあります。解凍している間に調味料が染みこみ、簡単におひたしや和え物が作れます。

市販の「冷凍ほうれん草」もおすすめ!

市販の冷凍ほうれん草

ほうれん草は家庭でも冷凍できますが、市販の冷凍ほうれん草を使うのもおすすめです。市販の冷凍ほうれん草には、数多くのメリットがあります。ここでは、家庭での冷凍(ホームフリージング)と冷凍食品の違いや、市販の冷凍ほうれん草のメリットを紹介します。

ホームフリージングと冷凍食品の違い

家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は、通常-18℃以下です。開閉する回数が多いため、もう少し温度が高くなっていることもあります。これくらいの温度は冷凍食品の保存には向いていますが、食品を急速冷凍することはできません。

ホームフリージングは凍結に時間がかかる(緩慢凍結)ため、食品内部の水分が大きな氷になって、細胞や組織を破壊してしまいます。すると解凍後に食品の品質が戻らなくなるので、味が落ちてしまうことがあるのです。

一方、市販の冷凍食品は、工場にて-30~40℃の低温で急速冷凍されます。急速冷凍すると食品内部の水分が大きな氷になることがありません。細胞や組織が壊れにくいので、解凍後も品質や風味が保たれやすくなります

なお、一部の家庭用冷蔵庫に搭載されている、-40℃ほどの冷気で急速冷凍する機能を活用すれば、ホームフリージングでも品質が落ちにくくなります。

冷凍食品とは

冷凍食品の条件は? 1.前処理している 新鮮な原料を選び、洗浄したうえで、魚で言えば頭、内蔵、骨などの食べられない部分を取り除いたり、三枚おろしや切り身にしたり、その切り身にパン粉などを付けて油で揚げるだけで魚フライができるように調理するなど、あらかじめ前処理をしています。 2.急速凍結している 食品の組織が損なわれて品質が変化しないように、非常に低い温度で急速凍結しています。 3.適切に包装している 汚れたり型くずれしたりするのを防ぐために、包装しています。包装には取扱方法、調理方法、使用上の注意や法律で決められている項目など、さまざまな情報が表示されています。 4.-18℃以下で保管している 食品の温度(品温)を、生産・貯蔵・輸送・配送・販売の各段階を通じて、一貫して常に-18℃以下に保つように管理されています。 冷凍食品とチルド食品の違い 冷凍食品は生産から流通・消費の段階まで一貫して、-18℃以下の低温を保って取り扱われます。一方、チルド食品は食品別に最適な温度帯が設定され、通常は0~+10℃の温度帯で流通しています。チルド食品の温度帯には、法的な規制はありません。 冷凍、パーシャル、チルド、フリーズドライ、氷温の違いは? 冷凍、パーシャル、チルド、氷温は、それぞれ温度管理が異なります。フリーズドライは、温度ではなく加工方法が異なります。 温度管理は、冷凍食品は-18℃以下の低温です。パーシャルは約-3℃と規定されていて、「半凍結・微凍結状態」です。氷温は、食品が凍る直前の温度を指します。凍る温度は食品によって異なりますが、0℃~-1.5℃までの温度帯を氷温と言います。チルドは約0℃です。チルドもパーシャルも氷温も完全には凍っていないところが、冷凍食品と異なります。 フリーズドライは、製法の名称です。一度食品を凍らせて、凍ったまま真空にしていくと昇華という減少が起こり、水分だけがなくなっていきます。お湯をかけると食べられるインスタント食品にも使われている製法です。 冷凍食品と「そうざい半製品」「加工品」「惣菜品」の違い 冷凍して販売している製品の中には、「そうざい半製品」と表示されているものがあります。冷凍食品は必ず「冷凍食品」と表示され、保存方法は「-18℃以下」とされています。また、厚生労働省の「食品、添加物等の規格基準」で微生物に関する衛生基準が以下のように定められています。 1.無加熱摂取冷凍食品 細菌数(生菌数)100,000/g以下、大腸菌群 陰性 2.加熱後摂取冷凍食品(凍結前加熱) 細菌数(生菌数)100,000/g以下、大腸菌群 陰性 3.加熱後摂取冷凍食品(凍結前未加熱) 細菌数(生菌数)3,000,000/g以下、E.coli 陰性 一方、「そうざい半製品」には、国が定めた規格基準がありません。また、「そうざい」のように指導指針となる衛生規範も定められていません。 また、冷凍された状態でお店に届いた商品を、解凍して詰め直して販売するケースなどもあります。例えば、シーフードミックスが冷凍食品としてお店に納品された後、お店がお鍋シーズンに合わせて「お鍋セット」として野菜なども混ぜ、お店でパッケージし直して販売しているケースなどがあります。このような商品は「冷凍食品」と表示することはできません。「加工品」や「惣菜品」などとして販売されています。 「そうざい半製品」「加工品」「惣菜品」のような「冷凍食品ではない冷凍品」は、冷凍食品より賞味期限が短くなっていたり、しっかり加熱が必要だったり、冷凍食品と調理法が異なるケースもあります。商品パッケージをよく確認し、調理してください。 冷凍食品とホームフリージングの違いは? 自宅の冷凍庫で凍らせて保存する「ホームフリージング」は便利ですが、冷凍食品とは大きく異なります。市販されている冷凍食品は、冷凍食品工場で-30℃~-40℃という低温で「急速凍結」します。しかし、家庭の冷凍室の温度は-18℃程度で、「緩慢凍結」になってしまいます。これが冷凍食品とホームフリージングの大きな違いです。家庭の冷凍室内の温度は通常購入した冷凍食品を保存するには適していますが、食品を凍結するには不十分です。緩慢凍結になり、食品の細胞・組織が壊れ、解凍したときに元の品質に戻らなくなってしまうこともあります。なお、最近はホームフリージング用に-40℃程度の冷気で急速凍結する機能付きの冷凍庫も普及してきましたので、このタイプの機種を使えば緩慢凍結の欠点も緩和されます。 ホームフリージングの注意点 ◎なるべく早く凍らせ、冷凍庫の開閉は素早く! 熱いものは冷ましてから金属の容器に入れ、食材を平らに入れ冷凍されるスピードをアップ。冷凍室の急速凍結機能があれば利用してください。 ◎しっかり包む 乾燥や脂肪の酸化を防ぐため、ラップ、ホイル、密閉容器などを使って、できるだけ空気を遮断する。 ◎衛生的に取り扱う 手や道具を事前によく洗い、微生物や異物などによる汚染を防ぐ。 ◎早めに使い切る(凍らせた日付の記入) 緩慢凍結による組織の傷みや保存中の品温変化により品質低下が早く進む場合があるので、2~3週間を目安に。 ホームフリージングに向く食品と向かない食品は以下の通りです。 ◎しっかり包む 乾燥や脂肪の酸化を防ぐため、ラップ、ホイル、密閉容器などを使って、できるだけ空気を遮断する。 ◎ホームフリージングに向くもの 乾燥品や加熱処理をしたもの タレ、塩につけたもの スープやソース類 パン、ごはん、もち、納豆 ◎ホームフリージングに向かないもの 生野菜(水分の多い葉物) 組織が柔らかい魚介類など 生卵やゆで卵 豆腐やこんにゃく、寒天など さらに詳しく日本冷凍食品協会ホームページで解説しています。 保存を目的に、家庭用冷蔵庫の冷凍室で食品を冷凍するホームフリージングにはいくつかの注意事項があります。 冷凍食品についてより詳しく知る 意外と知らない?冷凍食品基礎知識! 知って納得!冷凍食品「保存」にまつわる豆知識 冷凍の世界 ~冷凍食品の新常識~ 冷凍の世界 ~冷凍食品の新常識~ 後編 冷凍の世界 ~製品編~ 冷凍の世界 ~製品編~ 後編

市販の冷凍ほうれん草はメリットがいっぱい!

市販の冷凍食品には調理済みの料理から、野菜、果物などさまざまな種類があり、冷凍ほうれん草も販売されています。市販の冷凍ほうれん草には以下のようなメリットがあります。

栄養価が高く値段も安定

市販の冷凍ほうれん草の大きなメリットのひとつが、栄養価が高く値段が安定していることです。市販の冷凍ほうれん草の多くは、栄養価が高まる旬の時期に収穫し、速やかに下処理と冷凍を行っています。

そのため、どの時期に購入しても栄養価が高く、特にビタミンC含有率が年間を通して安定しているのです。

また、生鮮食品とは異なり、天候不順などによる価格変動の影響を受けにくいため、価格も安定しています。

食品ロスが出ない

市販の冷凍ほうれん草なら、下処理が済んでいるので生ゴミが出ないのも魅力です。食品ロスを減らせるだけでなく、イヤなニオイがしたり虫が湧いたりしやすい生ゴミの処理の手間も省けます

時短で調理できる

生のほうれん草を料理に使う場合、洗う、切る、茹でるなどの下処理が必要です。洗い物も増えるので、面倒に感じることもあるでしょう。

一方、市販の冷凍ほうれん草は下茹でまで済んでいることも多く、加熱料理なら解凍不要で使えるので、調理時間が短縮できます

出典:独立行政法人 農畜産業振興機構「冷凍野菜の魅力と国産冷凍野菜に期待すること」(「野菜情報」2024年8月号)

冷凍ほうれん草の調理のコツ

冷凍ほうれん草の調理のコツ

先述の通り、冷凍ほうれん草を汁物や炒め物などに使う場合は、解凍する必要がありません。そのまま鍋やフライパンに入れて加熱できますが、先に入れると柔らかくなりすぎるので、最後に入れるようにしましょう。

生のまま冷凍したほうれん草も解凍不要ですが、えぐみを感じる場合は30秒ほど下茹でして使うのがおすすめです。

冷凍ほうれん草を使用したレシピ5選

冷凍ほうれん草は、さまざまな料理に活用できます。ここでは、冷凍ほうれん草を使ったお手軽レシピを5つ紹介します。

なお、市販の冷凍ほうれん草を使用する場合は、パッケージに記載されている使用方法に従って調理しましょう。

ほうれん草と豚肉の豆乳鍋

ほうれん草と豚肉の豆乳鍋」は、まろやかな豆乳スープが体を温めてくれる鍋料理です。冷凍ほうれん草を使うことで手軽に作れ、しゃぶしゃぶスタイルで豚肉の旨味を楽しめるレシピです。

材料(2人分)

  • 冷凍ほうれん草200g
  • しゃぶしゃぶ用豚肉150g
  • 薄切りにした人参20g
  • 豆乳500ml
  • だし醤油大さじ2

作り方

  1. 冷凍ほうれん草を袋の表示通りに解凍する

  2. 豆乳とだし醤油を鍋に入れて弱火で温める

  3. 解凍したほうれん草と人参を鍋に入れる

  4. 「3」の鍋で豚肉をしゃぶしゃぶにする(お好みで七味唐辛子をかけるのもおすすめ)

ポテトとほうれん草の冷製ポタージュ

ポテトとほうれん草の冷製ポタージュ」は、暑い季節にぴったり、ほうれん草の美しい緑色が食欲をそそる一品です。お好みでピンクペッパーやブラックペッパーをかけてお召し上がりください。

材料(4人分)

  • 冷凍ほうれん草50g
  • 冷凍ポテト150g
  • コンソメ5g
  • 300ml
  • 牛乳300ml
  • 適量

作り方

  1. 鍋に牛乳以外の材料をすべて入れる

  2. 10~15分を目安に、冷凍ポテトが柔らかくなるまで煮込む

  3. 「2」の粗熱を取り、ブレンダーなどを使って撹拌する

  4. 「3」に牛乳を加え、滑らかになるまで混ぜる

  5. 塩で味を調整し、冷蔵庫で冷やす

ほうれん草を使った絶品フレンチトースト

ほうれん草を使った絶品フレンチトースト」は、野菜をしっかり食べられて罪悪感なく楽しめるブランチメニューです。メープルシロップとハム&チーズのハーモニーが絶妙で、中から飛び出すアツアツの具材が幸福感の高い一品に仕上げてくれます。

材料(2人分)

  • 冷凍ほうれん草80g
  • 食パン(8枚切り)4枚
  • とろけるチーズ2枚
  • ロースハム2枚
  • バター20g
  • メープルシロップ(お好みで)適量

〈A〉

  • 2個
  • 牛乳300ml
  • 砂糖大さじ1
  • 小さじ1/4

作り方

  1. 冷凍ほうれん草を袋の表示通りに解凍する

  2. Aの材料をすべて混ぜ合わせる

  3. 食パンの上にとろけるチーズ、ロースハム、解凍したほうれん草を乗せ、上からもう1枚食パンを乗せる

  4. 具材をはさんだ食パンを、30分ほど「2」の卵液に漬け込む

  5. フライパンにバターを入れて溶かし、漬け込んだ食パンを両面焼く(お好みでメープルシロップをかける)

ほうれん草と鮭フレーク和え

ほうれん草と鮭フレーク和え」は、たった2ステップで完成し、お弁当のおかずにも使えるお手軽副菜レシピです。マヨネーズを入れることでまろやかさがプラスされます。

材料(1~2人分)

  • 冷凍ほうれん草80g
  • 鮭フレーク10g
  • マヨネーズ小さじ1
  • ひとつまみ
  • ブラックペッパー(粗挽き)適量

作り方

  1. 冷凍ほうれん草を袋の表示通りに解凍して水けを絞る

  2. 水けを切ったほうれん草とそのほかの材料をすべて混ぜ合わせる

ほうれん草とバナナのスムージー

ほうれん草とバナナのスムージー」は、野菜不足解消にぴったりの、ひんやりおいしいドリンクです。バナナの自然な甘さがほうれん草の苦味をマスキングしてくれます。

材料(2人分)

  • 冷凍ほうれん草30g
  • バナナ1本
  • 牛乳カップ1と1/2

作り方

  1. ミキサーにすべての材料を入れて撹拌する(冷凍ほうれん草は解凍せずに使う)

まとめ

ほうれん草は、生のままでも茹でた後でも冷凍保存可能です。萎びたり傷んだりする前に冷凍しておきましょう。栄養面が保たれていることや手軽さを考えると、市販の冷凍ほうれん草を使うのもおすすめです。冷凍ほうれん草はいろいろな料理に活用できるので、常備しておいてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

日本冷凍食品協会 編集チーム

冷凍食品の魅力を伝える普及活動をしています。

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