ほうれん草を長く置いておくと、萎びたり傷んだりしてしまうことがあります。もったいないので冷凍保存できないかと思う方も多いでしょう。
結論からいうと、ほうれん草は冷凍保存できます。ただし、おいしさを保つには、冷凍・解凍のコツを覚えておくことが重要です。さらに、市販の冷凍ほうれん草を使えば、時短調理にもつながりおすすめです。
今回は、ほうれん草の冷凍方法と解凍方法、冷凍ほうれん草の調理のコツなどを紹介します。冷凍ほうれん草を使ったおすすめレシピもありますので、ぜひ最後までご覧ください。
自宅でほうれん草を冷凍する方法

まずは、ほうれん草を生のまま冷凍する方法と、茹でてから冷凍する方法について解説します。
生のまま冷凍保存する場合
ほうれん草は生のまま冷凍可能です。生のまま冷凍すると下処理の手間が省けるだけでなく、ほうれん草の風味を保ちやすくなります。以下の手順を参考に冷凍しましょう。
- ほうれん草を洗う
- 3~4cmの長さに切る
- しっかりと水けを拭き取る
- 1回分の量に小分けして、冷凍用保存袋に入れて冷凍する
ほうれん草を洗うときは、まず茎の間を広げて流水を当てながら、根本の土を丁寧に落としましょう。次にほうれん草を逆さに持って、根本から全体を洗うとキレイに汚れを落とせます。
茹でてから冷凍保存する場合
ほうれん草は茹でてから冷凍しても問題ありません。茹でてから冷凍すると、調理時のアク抜きの手間が省けます。また、えぐみを感じにくく甘みが引き立つので、料理に使いやすいでしょう。茹でたほうれん草を冷凍する際の、基本の手順は以下の通りです。
- ほうれん草を洗ってかために茹で、冷水にさらして色止めする
- 水けをしっかりと絞って、3~4cmの長さに切る
- 再度丁寧に水けを切り、1回分の量に小分けしてラップで包む
- 冷凍用保存袋または保存容器に入れて冷凍する
ほうれん草を茹でるときは、お湯に塩を入れると色が落ちにくくなります。
ほうれん草を解凍する方法
冷凍ほうれん草を汁物や炒め物などに使う場合は、凍った状態のまま調理可能です。直接鍋やフライパンに入れて加熱しましょう。
サラダやごま和え、おひたしなどの冷たい副菜を作る場合は、冷凍ほうれん草を冷蔵庫に移動させ、解凍してから使用します。推奨の解凍時間は冷凍方法によって異なり、生のまま冷凍したほうれん草は1時間、茹でてから冷凍したほうれん草は3時間~半日ほどです。
なお、時短をするなら、冷凍ほうれん草をそのままめんつゆやポン酢で味付けする方法もあります。解凍している間に調味料が染みこみ、簡単におひたしや和え物が作れます。
市販の「冷凍ほうれん草」もおすすめ!

ほうれん草は家庭でも冷凍できますが、市販の冷凍ほうれん草を使うのもおすすめです。市販の冷凍ほうれん草には、数多くのメリットがあります。ここでは、家庭での冷凍(ホームフリージング)と冷凍食品の違いや、市販の冷凍ほうれん草のメリットを紹介します。
ホームフリージングと冷凍食品の違い
家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は、通常-18℃以下です。開閉する回数が多いため、もう少し温度が高くなっていることもあります。これくらいの温度は冷凍食品の保存には向いていますが、食品を急速冷凍することはできません。
ホームフリージングは凍結に時間がかかる(緩慢凍結)ため、食品内部の水分が大きな氷になって、細胞や組織を破壊してしまいます。すると解凍後に食品の品質が戻らなくなるので、味が落ちてしまうことがあるのです。
一方、市販の冷凍食品は、工場にて-30~-40℃の低温で急速冷凍されます。急速冷凍すると食品内部の水分が大きな氷になることがありません。細胞や組織が壊れにくいので、解凍後も品質や風味が保たれやすくなります。
なお、一部の家庭用冷蔵庫に搭載されている、-40℃ほどの冷気で急速冷凍する機能を活用すれば、ホームフリージングでも品質が落ちにくくなります。
市販の冷凍ほうれん草はメリットがいっぱい!
市販の冷凍食品には調理済みの料理から、野菜、果物などさまざまな種類があり、冷凍ほうれん草も販売されています。市販の冷凍ほうれん草には以下のようなメリットがあります。
栄養価が高く値段も安定
市販の冷凍ほうれん草の大きなメリットのひとつが、栄養価が高く値段が安定していることです。市販の冷凍ほうれん草の多くは、栄養価が高まる旬の時期に収穫し、速やかに下処理と冷凍を行っています。
そのため、どの時期に購入しても栄養価が高く、特にビタミンC含有率が年間を通して安定しているのです。
また、生鮮食品とは異なり、天候不順などによる価格変動の影響を受けにくいため、価格も安定しています。
食品ロスが出ない
市販の冷凍ほうれん草なら、下処理が済んでいるので生ゴミが出ないのも魅力です。食品ロスを減らせるだけでなく、イヤなニオイがしたり虫が湧いたりしやすい生ゴミの処理の手間も省けます。
時短で調理できる
生のほうれん草を料理に使う場合、洗う、切る、茹でるなどの下処理が必要です。洗い物も増えるので、面倒に感じることもあるでしょう。
一方、市販の冷凍ほうれん草は下茹でまで済んでいることも多く、加熱料理なら解凍不要で使えるので、調理時間が短縮できます。
出典:独立行政法人 農畜産業振興機構「冷凍野菜の魅力と国産冷凍野菜に期待すること」(「野菜情報」2024年8月号)
冷凍ほうれん草の調理のコツ

先述の通り、冷凍ほうれん草を汁物や炒め物などに使う場合は、解凍する必要がありません。そのまま鍋やフライパンに入れて加熱できますが、先に入れると柔らかくなりすぎるので、最後に入れるようにしましょう。
生のまま冷凍したほうれん草も解凍不要ですが、えぐみを感じる場合は30秒ほど下茹でして使うのがおすすめです。
冷凍ほうれん草を使用したレシピ5選
冷凍ほうれん草は、さまざまな料理に活用できます。ここでは、冷凍ほうれん草を使ったお手軽レシピを5つ紹介します。
なお、市販の冷凍ほうれん草を使用する場合は、パッケージに記載されている使用方法に従って調理しましょう。
ほうれん草と豚肉の豆乳鍋
「ほうれん草と豚肉の豆乳鍋」は、まろやかな豆乳スープが体を温めてくれる鍋料理です。冷凍ほうれん草を使うことで手軽に作れ、しゃぶしゃぶスタイルで豚肉の旨味を楽しめるレシピです。
材料(2人分)
- 冷凍ほうれん草200g
- しゃぶしゃぶ用豚肉150g
- 薄切りにした人参20g
- 豆乳500ml
- だし醤油大さじ2
作り方
-
冷凍ほうれん草を袋の表示通りに解凍する
-
豆乳とだし醤油を鍋に入れて弱火で温める
-
解凍したほうれん草と人参を鍋に入れる
-
「3」の鍋で豚肉をしゃぶしゃぶにする(お好みで七味唐辛子をかけるのもおすすめ)
ポテトとほうれん草の冷製ポタージュ
「ポテトとほうれん草の冷製ポタージュ」は、暑い季節にぴったり、ほうれん草の美しい緑色が食欲をそそる一品です。お好みでピンクペッパーやブラックペッパーをかけてお召し上がりください。
材料(4人分)
- 冷凍ほうれん草50g
- 冷凍ポテト150g
- コンソメ5g
- 水300ml
- 牛乳300ml
- 塩適量
作り方
-
鍋に牛乳以外の材料をすべて入れる
-
10~15分を目安に、冷凍ポテトが柔らかくなるまで煮込む
-
「2」の粗熱を取り、ブレンダーなどを使って撹拌する
-
「3」に牛乳を加え、滑らかになるまで混ぜる
-
塩で味を調整し、冷蔵庫で冷やす
ほうれん草を使った絶品フレンチトースト
「ほうれん草を使った絶品フレンチトースト」は、野菜をしっかり食べられて罪悪感なく楽しめるブランチメニューです。メープルシロップとハム&チーズのハーモニーが絶妙で、中から飛び出すアツアツの具材が幸福感の高い一品に仕上げてくれます。
材料(2人分)
- 冷凍ほうれん草80g
- 食パン(8枚切り)4枚
- とろけるチーズ2枚
- ロースハム2枚
- バター20g
- メープルシロップ(お好みで)適量
〈A〉
- 卵2個
- 牛乳300ml
- 砂糖大さじ1
- 塩小さじ1/4
作り方
-
冷凍ほうれん草を袋の表示通りに解凍する
-
Aの材料をすべて混ぜ合わせる
-
食パンの上にとろけるチーズ、ロースハム、解凍したほうれん草を乗せ、上からもう1枚食パンを乗せる
-
具材をはさんだ食パンを、30分ほど「2」の卵液に漬け込む
-
フライパンにバターを入れて溶かし、漬け込んだ食パンを両面焼く(お好みでメープルシロップをかける)
ほうれん草と鮭フレーク和え
「ほうれん草と鮭フレーク和え」は、たった2ステップで完成し、お弁当のおかずにも使えるお手軽副菜レシピです。マヨネーズを入れることでまろやかさがプラスされます。
材料(1~2人分)
- 冷凍ほうれん草80g
- 鮭フレーク10g
- マヨネーズ小さじ1
- 塩ひとつまみ
- ブラックペッパー(粗挽き)適量
作り方
-
冷凍ほうれん草を袋の表示通りに解凍して水けを絞る
-
水けを切ったほうれん草とそのほかの材料をすべて混ぜ合わせる
ほうれん草とバナナのスムージー
「ほうれん草とバナナのスムージー」は、野菜不足解消にぴったりの、ひんやりおいしいドリンクです。バナナの自然な甘さがほうれん草の苦味をマスキングしてくれます。
材料(2人分)
- 冷凍ほうれん草30g
- バナナ1本
- 牛乳カップ1と1/2
作り方
-
ミキサーにすべての材料を入れて撹拌する(冷凍ほうれん草は解凍せずに使う)
まとめ
ほうれん草は、生のままでも茹でた後でも冷凍保存可能です。萎びたり傷んだりする前に冷凍しておきましょう。栄養面が保たれていることや手軽さを考えると、市販の冷凍ほうれん草を使うのもおすすめです。冷凍ほうれん草はいろいろな料理に活用できるので、常備しておいてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
日本冷凍食品協会 編集チーム
冷凍食品の魅力を伝える普及活動をしています。