けんちゃん先生に聞く! 食べる人にも作る人にもやさしい簡単レシピ
けんちゃん先生にとっての“やさしいレシピ”とは? 自分や家族が病気の時、何を作れば良い? けんちゃん先生に冷凍食品を使ったやさしいレシピを伺いました。
けんちゃん先生にとっての“やさしいレシピ”とは?
僕が栄養士を目指すと決めたのは、中2の夏休みでした。「食べもので人を健康にしたい」と考え、自分なりに調べたところ、「栄養士」という職業があることを知りました。
その思いは揺るがず、専門学校で栄養士の資格を取り、給食委託会社に就職。そこで老人保健施設に配属されることになり、中2の夏に決めた想いを20歳で叶えることができました。
施設では、食べる人の状態に寄り添うことを学びました。食事は治療の一環でもあるので、栄養的に必要なものを食べてもらうことは大切です。しかし、一番大切なことは、食べたいものを食べられるようにすること。例えば、認知症で自分の意志を表現することが難しくなってもアイデンティティは残るので、好きなものや食べたいものを食べたとき、とても満足そうな顔をしてくれます。
食事はお腹を満たし、栄養を満たすだけでなく、心を満たすもの。食べた時にホッとして、心も温かくなるようなレシピが、“やさしいレシピ”だと思います。
自分や家族が病気のときは、何を作れば良い?
まずは本人が食べたいものが一番です。そして、不思議なことに、ひと手間かけた食事は食欲が湧き、食べてもらえます。作る人が食べてもらうために一生懸命考えて手をかけた料理は、食べる人にもその気持ちが伝わり、さらにおいしく感じられます。皆さんも経験があると思いますが、病気になってコンビニにも行けなくなるようなとき、手料理の温かみはよけいにありがたく感じて、おいしさが倍増しますよね。
活力が低下しているときのおすすめは、消化の良い食べもの。卵などのタンパク質、うどんやごはんなどの炭水化物は体にエネルギーを与えるためにも食べてほしいです。健康に欠かせないミネラルやビタミンを豊富に含んでいる野菜も、回復期には摂取したいですね。繊維が多い野菜は胃腸の負担になることがあるので、消化が良い白菜、大根、かぼちゃ、じゃがいもなどをやわらかく煮たりゆでたりして食べることをおすすめします。
冷凍食品は、作る人にもやさしい。
ひと手間かけた料理を作りたくても、自分の体調が悪ければとても無理ですし、もし家族の具合が悪くてもじっくり時間をかけて作ることは難しいですよね。そんな時には、ぜひ冷凍食品を活用してください。冷凍食品は、ゴミも少ないし、包丁もいらないので、具合が悪いときでもさっと作れます。また、体調を崩した家族のために消化の良いメニューを一人分だけ作ることも簡単です。
僕がよく使っていて、おすすめの冷凍食品は、今回ご紹介するレシピにも使っている冷凍カボチャです。生のかぼちゃは固くて包丁で切るのが大変で、火を通すのも時間がかかりますが、冷凍カボチャはちょうど良い大きさにすでにカットされています。さらに、下茹でもされているので、調理時間は短くてOK。しかも、旬の時期に収穫したものを急速冷凍しているので、栄養価も保たれていてとってもおいしい!季節を問わず、よく使っています。
冷凍のお魚もおすすめですね。老人保健施設に勤めている時は、お魚料理は男女問わず大人気のメニューでした。でも、お魚料理は下処理が大変ですし、後片付けも面倒。お年寄りに作るときは、骨やウロコなどが入っていないか、安全面も気をつける必要があります。でも、冷凍食品ならすでに下処理され、骨も除かれているものもあり、食べやすくて安心です。体調が悪いときだけでなく、忙しくて買い物ができないときにも便利なので、常備しておくと良いですね。
もうひとつ、僕の思い出のメニューでもあるのが、鶏つくね串。高校ではお弁当だったのですが、3年間、母が毎日入れてくれました。おかずのすき間が多い時はたくさん入っていて、それが少し楽しみでもありましたね。いま食べても柔らかくて、とってもおいしい!高校生のときはお弁当の一品でしたが、今はビールのおつまみとしておいしく食べています(笑)。
今回のレシピのポイント
現在、主に初心者さんを対象に、料理教室を主宰しています。食べる人が「おいしい!」と感激して、心が満たされるレシピを紹介していますが、料理に苦手意識があったり、共働きで時間がなかったりする人でも作れるような、作る人にもやさしいレシピになることも心がけています。
今回ご紹介するレシピも、特別な道具や食材を買いに行かなくても、小さな半歩を踏み出せば作れるものばかりです。そして、その半歩を踏み出すと、いつもより見栄えが良くなったり、本格的な味わいになったり、達成感があって心も満たされていきます。
例えば、「かぼちゃとほうれん草のレンチン海苔和え」の調味料は醤油だけ。海苔が味わいに深みを生み出し、料亭で出される一品のような副菜になります。「レンチンでカルボうどん」は牛乳やチーズを使い、うどんの概念が変わるレシピです。新しい味との出会いは、食べることが楽しくなりますよね。
今回のレシピで小さな半歩を踏み出して何度か作れば、「海苔と一緒にかつお節を入れてみよう」「うどんに野菜を加えてみよう」と工夫をするようになり、どんどん“我が家の味”になっていきます。僕の鶏つくね串がそうであったように、“我が家の味”は色あせない思い出です。僕のレシピが、みなさんにとってそれぞれの素敵な思い出につながっていけば、うれしいです。
けんちゃん先生に聞く!
食べる人にも作る人にもやさしい簡単レシピ
かぼちゃとほうれん草のレンチン海苔和え
少ない調味料で、深い味わいの本格的な一品があっという間に完成!
材料(2~3人分)
- 冷凍かぼちゃ
- 150g
- 冷凍ほうれん草
- 100g
- 濃口しょうゆ
- 大さじ1
- 焼き海苔
- お好み
作り方
- 大きめの耐熱容器に冷凍かぼちゃを凍ったまま入れ、ふんわりラップをして、レンジ(600W)で4分加熱する。
- 1.に冷凍ほうれん草を凍ったまま加え、さらにレンジ(600W)で2~3分加熱する。
- 全体に濃口しょうゆ、焼き海苔を加え、よく混ぜたら完成♪
<ワンポイント>
冷凍かぼちゃと冷凍ほうれん草は解凍時間が異なります。そのため時間差で加熱することで、かぼちゃはホクホク、ほうれん草はしっとり仕上がります。ほうれん草は通常より長めに加熱して柔らかめに仕上げると、かぼちゃや海苔によくなじんで食べやすくなります。
レンチンでカルボうどん
牛乳でお手軽に!胃腸にやさしく体調が悪いときにもおすすめ
材料(1人分)
- 冷凍うどん
- 1玉
- 卵
- 1個
- 粉チーズ
- お好み
- 黒胡椒
- お好み
- パセリみじん切り
- お好み
- A
-
- 牛乳
- 100ml
- にんにくチューブ
- 1cm
- 鶏ガラスープの素
- 小さじ1/2
- 濃口しょうゆ
- 小さじ1/2
作り方
- 大きめの耐熱容器に【A】を入れ、よく混ぜてから、レンジ(600W)で2分加熱する。
♡ポイント♡
野菜や肉などを加える場合は、ここで入れてレンジで加熱します。熱が通りやすいように、薄切りを意識しましょう。 - 1.に冷凍うどんを加え、パッケージ記載の加熱時間通りにレンジで加熱する。
- 2.に溶いた卵を加え、よく混ぜる。器に盛り付け、粉チーズ、黒胡椒、パセリみじん切りを散らして完成♪
<ワンポイント>
器が小さいと牛乳が吹きこぼれることがあるので、大きめの耐熱容器を使います。うどん用のどんぶりで作れば、洗い物が少なくなり、後片付けも楽チンです!
ドレスドオムライス
簡単なのに華やか!洋食屋さん気分を味わえます♪
材料(1人分)
チキンライス
- 冷凍鶏つくね串
- 2本
- 冷凍チキンライス
- お茶碗1杯(約150g)
- A
-
- にんにくチューブ
- 少々
- 鶏がらスープの素
- 小さじ1
- ケチャップ
- 大さじ2
ドレスドオムレツ
- 卵
- 1個
- マヨネーズ
- 小さじ1
- オリーブオイル
- 大さじ1
作り方
- 電子レンジでチキンライスをパッケージの表記通りに温める。
- 冷凍鶏つくね串をパッケージ記載の時間通りにレンジで加熱する。大きめの耐熱容器に【A】を入れ、ふんわりラップしてレンジ(600W)で2分加熱する。
- 加熱した鶏つくねを食べやすい大きさに切り、1のチキンライスと一緒に1.の耐熱容器に加え、よく混ぜる。これを茶碗に入れ、平らなお皿にひっくり返して、丸いドーム型にする。
- ドレスドオムレツを作る。ボウルに卵、マヨネーズを入れ、しっかり混ぜる。
- フライパンにオリーブオイルを入れ、中火にかける。フライパンが温まったら卵を一気に加え、卵の縁が固まるまで5~6秒待つ 。
♡ポイント♡
フライパンをしっかり温めると、調理しやすいです。目安としては、卵を箸に軽く付けてフライパンに入れて、パチパチと音がしたらOK。ただし、煙が出るのは熱しすぎなので、ご注意を。 - 箸で卵の上下をつまみ、箸はそのままでフライパンだけを時計回りに動かす。卵がドレス状になったら火を消し、フライパンを下から持ってチキンライスの上に乗せれば完成♪
<ワンポイント>
ドレスドオムレツは、卵を寄せた箸を動かさないようにするのがポイント!フライパンを回してドレープを作り、チキンライスに乗せるときも箸はそのままで、フライパンを動かしてすべらせるようにして乗せます。
里芋で 揚げないビックエビフライ
歓声が上がる大きなエビフライ!楽しく作って楽しく食べよう♪
材料(8個分)
- 冷凍里芋
- 250g
- 塩こしょう
- 少々
- 海老
- 8尾
- マヨネーズ
- 大さじ2
- パン粉
- 大さじ4
作り方
- 耐熱皿に冷凍里芋を入れ、ふんわりラップをかけ、レンジ(600W)で6分加熱する(パッケージ記載の加熱時間を参考に)。塩こしょうを振り、なめらかになるまでフォークでつぶす。
- オーブンやトースターの天板にクッキングシート(アルミホイル)を敷く。海老の殻と背わたを爪楊枝などで取る。尻尾は残して、身をざく切りにして里芋と混ぜ、エビフライの形にする。
- 2.にマヨネーズを塗り、パン粉をまぶす。海老の尻尾を広げて差し込み、天板に並べる。トースターやオーブンでパン粉に焼き色がつくまで加熱すれば完成♪
(参考:予熱なしオーブン220℃で20分)
<ワンポイント>
通常のフライは小麦粉→卵→パン粉→油で揚げる、のステップが必要ですが、マヨネーズを使えば小麦粉と卵の代わりになりますし、揚げなくてもサクサクした食感になります。里芋を使うと柔らかいので、小さなお子さんやお年寄りの方にも食べやすいビッグフライです!
けんちゃん先生 (嘉村健志)
料理家・管理栄養士
- 2005年 平岡栄養士専門学校にて調理・製菓の調理法・理論を学ぶ。
- 2007年 老人保健施設に勤務。
日々食事調理業務とおやつ作り・バイキング企画に励む。
その後、精神科病院にて調理、栄養指導、食材管理などを担当。 - 2010年 実務経験3年間を経て管理栄養士国家資格に受験、合格。管理栄養士として栄養指導やダイエット指導、料理指導、料理教室、テレビ出演、イベント企画などに携わる。
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