冷凍の世界 ~製品編~ 前編
スーパーやコンビニなどの、冷凍食品の売り場には色々な製品が販売されています。身近にある冷凍食品の一つ一つにはおいしさの秘密がたくさんあります。
そんな冷凍食品ならではのおいしさの秘密をみていきましょう。
身近にある冷凍食品のおいしさの秘密を見ていこう!
こんにちは。
日本冷凍食品協会広報部の冷子です。
これから皆さんが日常食べている冷凍食品のおいしさの秘密をお届けして行きたいと思います♪
前回お届けしました「冷凍の世界~冷凍食品の新常識~」にも登場した冷凍食品達と一緒に見ていきましょう!
こんにちは。冷凍焼きおにぎりです。
冷子さん、最近本当に「冷凍食品おしくなったね!」って言われるんです!
あら、いいことじゃない!鼻が高いわ!
そうなんです!
でも、なんでおいしくなったの?って言われるんですが、答えられなくて…。冷子さん教えてください!
本当に冷凍食品はどんどんおいしくなっているわね。 この「どんどん」という所がミソなの!
つまり、冷凍食品はおいしく進化をし続けているのよ。そのおいしさの秘密を見て行きましょう!
冷凍コロッケのおいしさの秘密
なぜ電子レンジで温めると
冷凍コロッケがサクサクになるの??
こんにちは!コロッケです。
なんでレンジでチンしてるのに、ベチャっとしないの?ってよく言われるんです。
自分でもサクサクだなーって思うんですが、なぜでしょうか?
自分でもサクサクって思うのね(笑)
確かに、揚げ物などはレンジでチンをするとベチャっとするんじゃないか?って思うわよね。
ここに秘密がありそうね!
なぜ電子レンジで温めると
冷凍コロッケがサクサクになるの??開閉ボタン
コロッケくん、「冷凍食品の4つの条件」の条件2でもあったけど、冷凍した食べ物を解凍した時、ベチャベチャになる原因は覚えているかしら?
食べ物をゆっくり凍らせると、食品の中の水分が凍結する時に大きな結晶となって細胞膜が破れてしまって、解凍した時に食べ物の水分が流れ出すことでベチャベチャになっちゃうんだったわね。
そうでしたね!鈴木先生から教わりました!
ぼくも冷凍される時はゆっくりじゃなくて急速に凍結されているんですよね?
しっかり覚えていてくれて、嬉しいわ♪
ただ、コロッケのように高い温度で調理している加工食品は揚げたときに細胞がこわれているの。
だから、氷の結晶の大小は問題じゃないのよ。
えええ?では、なぜコロッケは急速凍結されているの??
例えば、お家で作ったコロッケを、家庭の冷凍庫で凍らせて電子レンジで温めると、衣がベチャベチャっとしちゃうの。
この原因は、コロッケの中に入っている水分が衣に移動してしまうからなのよ。
なるほどー!ベチャベチャの原因はこれだったのですね!
衣は油で揚げていて、水分がほとんど含まれていないから、タネの水分が衣に移りやすいの。
だから、それを防ぐために冷凍食品の工場では、急速凍結しているのよ♪
これが冷凍食品ならではの、おいしくする工夫につながっているのね。
なるほどー!
すぐに凍るから中に水分が閉じ込められたままなんですね! でもそれだと電子レンジで温めると中の水分が衣に移っちゃうんじゃない?
すごいね!最近の冷凍コロッケは頭の回転も速いのね(笑)
もしかして、ここにも秘密がありそうですね!
ピンポーン♪
ここにも様々な工夫がされているの。
例えば、パン粉を付ける前のつなぎに使う卵と小麦粉の比率を変えることで、レンジでチンしたときに具の中の水分が衣にしみ込むのを防いでいるのよ。
す、すごい。。。比率でそんなことができるんですね。
これこそ、メーカーさんの研究の賜物ね!
他にもコロッケのタネと衣の間に油の層を挟んで、コロッケのタネから衣に水分が移るのを防いでいるのよ!
そんな秘密もあるんですね!
日々、この様な技術が研究されているから、
おいしいサクサクの冷凍コロッケがどんどん発売されているんです♪
あああ。おいしそう。。。
僕も、もっともっとたくさんの人に食べてもらいたいなぁ!
コロッケくん!
実は、平成29年冷凍食品の国内生産量ランキングで第1位を獲得したのは冷凍コロッケなのよ!
そうなの!?僕が国内生産量1位なんですか?
そうなの♪自信を持ってね!
生産量のお話は下のリンクから見てみてね!
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【コラム】冷凍コロッケは画期的な発明だった
今、電子レンジで調理できる冷凍コロッケは当たり前の様に販売されていますが、実は発売当初、画期的な商品だったのです。
それまでのコロッケなど冷凍フライ類は、いわば「揚げる前の状態」で販売されているのが主流で、購入後、ご家庭で油で揚げ、晩御飯のおかずとして食べられていたケースが多かったのです。
次に、すでに揚がっているものが販売され、ご家庭のオーブントースターで温めるという商品も出てきました。
油で揚げたり、オーブントースターで温める時には外からの加熱なので衣に水分は移りませんが、電子レンジの場合は中の水分を加熱するため、どうしても衣がベチャベチャになりやすかったのです。
その後、電子レンジで温める冷凍コロッケが販売されたことで、手軽に調理できる利便性からお弁当に入れられるようになり、冷凍食品の調理の仕方も大きく変化しました。
欧米では電子レンジで調理できる冷凍食品は主流ではありません。
実はこれには日本独自の文化も影響しているのです。
それは、「お弁当文化」なのです。
日本人はご飯におかずを組み合わせた「お弁当」が、子供、大人を問わず一般的です。
朝の慌ただしい時間の中で、温めるだけで一品つくれる電子レンジ調理の冷凍食品は、お弁当づくりに悩むお母さんたちにとって、まさしく救世主でした。
欧米ではそのような文化がなく、また家庭にオーブンがあるのが一般的だったため、今でも電子レンジではなくオーブンを使って調理する冷凍食品が主流です。
冷凍うどんのおいしさの秘密
冷凍うどんはなんでコシが強いの?
解凍するとき、コシは変わらないの?
冷子さんこんにちは!
冷凍うどんってしっかり「コシ」があるものが多いけど、なんで冷凍しているのにコシが強いんですか?
ブロッコリーちゃん、こんにちは!
本当にコシが強い冷凍うどんは多いわね!
それでは冷凍うどんの秘密を見て行きましょう♪
冷凍うどんはなんでコシが強いの?
解凍するとき、コシは変わらないの?開閉ボタン
ブロッコリーさんは、冷凍うどんはなんでコシが強いんだと思う?
え??クイズ形式?
そうですねー。職人さんが足でコネている姿をみたことあるかも!なのでコネるのが上手だから!?
正解!!冷凍する前に大勢の職人さんが足でコネているのよ!
んなワケあるかーい!!
れ、れいこさん。。。。
はい!という訳で、コシの秘密を解き明かして行きましょう!
何も無かった様に進むんですね(笑)
コシが強い、弱いって言っているけど、「コシ」ってそもそも何かわかるかな?
そう言えば、そもそもコシが何か考えたことなかったです。
うどんのコシは小麦粉の持つグリアジングルテニンというタンパク質が、水と塩を加えて練ることで、粘弾性のあるグルテンという物質に変化することで生まれるの。そして麺の外側と内側の水分量の差がコシの強い・弱いを感じさせるのよ♪
え?水分量??
うどんの断面図のイメージで説明するわね。
うどんを茹でると、外側には水分が浸み込むけど、内側に浸み込むには時間がかかるでしょ?
茹でたてのうどんのコシは、この水分の差によるのよ。
不思議ですね!おもしろーい!
この状態を保つことができれば、コシのあるうどんが食べられるのよ。
あ!冷凍すればいいんだね!
正解!って言いたい所だけど、単に冷凍すればこのコシが保てるっていう訳じゃないのよ。
え?普通に冷凍するんじゃダメなんですか?
そうなの。冷凍の方法が肝心なの。
ゆっくり凍らせてしまうと、凍るまでの途中でうどんに含まれている水分が大きな塊になって凍ってしまうの。そうすると、うどんに含まれるグルテンの組織が壊れてしまうのよ。
これは「冷凍食品の4つの条件」でも紹介したわね!
なるほど!これがポイントだったんですね!
大事なポイントね!
ベストな状態で茹でられたうどんを−1℃~−5℃(最大氷結晶生成温度帯)の温度帯を一気に通過させ急速凍結させることで、うどんの中の水分は小さい粒の状態で凍らせることができるのよ。そうすることで組織を壊すことなく、コシの強さをたもっていられるのよ!
なるほど!これがコシの秘密なんですね!
あれ?でも、解凍するときにコシは保てるの?伸びちゃうんじゃない?
なるほど!そう思ったのね!
まず、「うどんが伸びる」というのは、うどんが時間の経過と共に中の水分量が均一になってしまうことでコシがなくなってしまうの。
これが「うどんが伸びる」という正体。
ほぉ~!「伸び」の正体は考えたことなかったです!なるほど~~。
急速凍結されたうどんは外側と内側の水分量がベストな状態で凍ってキープされているので袋の説明通りに解凍すれば茹で過ぎて麺が伸びる、といった失敗はなくコシが強いうどんの出来上がり♪
なるほどー!
だれでも簡単にコシの強いうどんが解凍できるのね!
「冷凍うどんなのに」じゃなくて、これこそ「冷凍うどんだから」できるおいしさの秘密なのよ!
なるほど!!
私もだけど、冷凍うどんは常備しておきたい冷凍食品の一つですねー!
そうね!冷凍ブロッコリーちゃんも便利だけど色々アレンジできる冷凍うどんも本当に便利よね♪冷凍うどんの生産量も堂々の第2位なので人気の高さが伺えるわね。
冷食ONLINEではたくさんの冷凍うどんのアレンジレシピをご紹介しているので是非チェックしてみてください!
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【コラム】最大氷結生成温度帯と急速凍結
食品によって異なりますが、一般に、食品中の水分は-1℃あたりから凍り始め、-5℃程度でほぼ凍結します。この温度帯を「最大氷結晶生成温度帯」といいます。
「食品の冷凍」とは食品中の水分が凍結することです。水分は最初小さい氷の結晶となります。
この温度帯を通過する時間が長いと氷結晶がお互いにくっつきあって成長し、大きくなって食品の組織を壊してしまいます。
食品の組織の損傷を極力少なくするためには、このー1℃からー5℃の温度帯を急速に通過させる必要があるのですがこの凍結方法を「急速凍結」といいます。
そして、日本冷凍食品協会の認定基準では、概ね30分以内に通過することとしています。
ちょっと難しいですが、食品が凍結される時の温度変化の履歴を表した上のグラフ(凍結曲線)の a が急速凍結となります。
短い時間で一気に最大氷結晶生成温度帯を通過していますね!
急速凍結を行うと、上記の図の様に、氷の粒が小さいままなので組織を圧迫せず、壊れにくくなるのです。
この急速凍結が冷凍食品にとって欠かせない冷凍技術なのです。
一方、上記凍結曲線の b で示されている様に時間をかけた凍結方法は緩慢凍結といわれ、避けるべき方法です。
緩慢凍結の図でもある通り、氷の粒が大きくなると細胞を壊してしまい、これがベチャベチャになる原因になります。
冷凍チャーハンのおいしさの秘密
どうして解凍しても、べちゃっとしないで、パラパラ・ふっくらするの?
冷子さん。こんにちは。
僕の親戚の冷凍チャーハンが、すごくおいしいって話題なんです。しかもパラパラでベチャっとしないって!
僕もパラパラに憧れちゃう!どうしてふっくらパラパラなの?教えて冷子さん!
冷凍焼きおにぎり君、こんにちは!
親戚だったのね(笑)
確かに冷凍のチャーハンはパラパラでふっくらしているわね!
秘密をお教えしましょう♪
どうして解凍しても、べちゃっとしないで、パラパラ・ふっくらするの?開閉ボタン
冷凍焼きおにぎり君、お店で食べるチャーハンってなんでパラパラ、ふっくらしているか、わかるかな?
中華屋さんのチャーハンは確かにパラパラですよね!
んー。パラパラのご飯を使っているから?
残念!
お店のチャーハンはまず、火力が違うの。
なので、木ベラやお玉で混ぜていたら中華鍋の底の材料と表面の材料の火の通りが全然かわっちゃうの。
そこで写真のように、中華鍋を煽って全体をひっくり返して混ぜることこで火が均一に通るの。
そして、混ぜる時に空気がしっかり入って、余分な水分が飛んでチャーハンがパラっと仕上がるのよ♪
おー。すごい!!
これは職人ワザですね!
そうなの。これは職人さんレベルのお話なの。
家庭では難しいこの製法を取り入れて冷凍チャーハンを作っているメーカーさんもあるのよ!
おー!!
本格的な職人さんをすごい雇っているんですね!
ちゃうがな! このパターン2回目!!
職人さんレベルの技術を再現するために、あおる回数、時間、鍋肌の温度、具材投入などのタイミングを徹底的に 調べてつくられているの。
おおおお。
しっかり空気を含んで炒めてますね!
工場でも職人さんが作っているようですね!
これがパラパラの秘密なんですね!
確かに、これもパラパラになるポイントではあるんだけれど、冷凍食品ならではのパラパラポイントがあるのよ!
そ、そうなんですね!
さらにパラパラになるパラパラポイントがあるんですか!
パラパラポイントって言いたいだけでしょ(笑)
まずは完成したチャーハンを平らにならして粗熱を取るの。
そして、強い冷気を一気に当てることで、ごはん同士がくっつかないように急速凍結させるのよ!これはいろいろな製法があるんだけど、今度改めて紹介するわね。
すごいですねー。
一粒一粒凍結されているから解凍をしてもパラっとしたチャーハンが食べられるんですね!
そういうこと!
技術発展、研究推進によってさらにおいしくなっているのが冷凍食品のすごい所ね♪
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次回は冷凍の世界 ~製品編~ は後編に続く!
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